ロードバイクのホイールは完璧な真円というわけではなく、微妙に重量バランスが乱れた状態になっているのが普通です。
そこでホイールバランスを整えると、より綺麗な回転を引き出すことができ、パフォーマンスの向上に繋がります。
高価なホイールを買うだけでなく、ホイールバランスを見直すというアプローチも効果的な上、費用もそこまでかからないのでおすすめです。
そこで今回はホイールバランスを取るメリット・デメリット、作業方法などを詳しく解説していきます。
1.ホイールバランスについて
ロードバイクのホイールは各部分で重量が異なるため、そのままだとバランスの取れていない状態と言えるでしょう。
パっと見るだけでも、チューブのバルブ部分は重くなっているのは明らかですし、リムのつなぎ目やタイヤによっても、バランスは乱れてきます。
ホイールは走行中に絶えず円運動を繰り返すため、バランスが悪いと重心が乱れてしまいます。
そこでホイール各部の重量差を取り除き、バランスを取ることによって綺麗な回転を得ることができます。
2.ホイールバランスを取るメリット
ホイールバランスを取るメリットとしては以下の3点が挙げられます。
- 安定感が増す
- 高速域で速度が落ちにくくなる
- 振動の減少による疲労軽減効果
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
メリット①安定感が増す
ホイールバランスが乱れていると、回転時は重たい部分により大きな遠心力が発生するため、綺麗な円運動を描くことができません。
回転するたびホイールが揺れているような状態になるため、走行時の安定感にも影響を与えます。
ホイールバランスを取って回転時の振動を抑えることで、より安定した走りを得ることができます。
真っ直ぐ走っても姿勢がブレず、コーナリングも安定するので、パフォーマンスの向上に繋がるでしょう。
メリット②高速域で速度が落ちにくくなる
ホイールバランスが取れていないことによる乱れた回転は非効率でもあるため、同じパワーを加えても回転が早めに落ちてしまいます。
重量バランスの均一なホイールは綺麗な回転をするため、パワーロスが少なく、速度がへたりにくくなります。
特に、40km/h程度の高速域で走ると、その違いが実感しやすくなるでしょう。
メリット③振動の減少による疲労軽減効果
ホイールが綺麗に回転することで余計な振動が減少するため、身体にかかる振動も抑えられ、疲労軽減効果が得られます。
レースシーンでは特にパワーロスや疲労の軽減は結果に直結してくるでしょう。
3.ホイールバランスを取る際の注意点
ホイールバランスを取ることにはデメリットもあるので、必ず確認しておきましょう。
主なデメリットは以下の3点です。
- チューブ・タイヤ交換で再度バランスを取る必要がある
- 上手くやらないとホイールの重量が増す
- 低速域だと違いが実感しにくい
デメリットもしっかりと把握した上で行ってみてください。
デメリット①チューブ・タイヤ交換で再度バランスを取る必要がある
ホイールバランスは、ホイール、タイヤ、チューブ全てのバランスを計算に入れる必要があります。
1回バランスを取って均一にしたとしても、チューブやタイヤの交換で別のものを使うとバランスが変わってきます。
例えば、チューブ交換でバルブの長さが異なるだけでも、バルブ部分の重さが変わってきます。
そのため、ホイールバランスを取る際は、できるだけ使用するパーツを替えないというのが重要です。
「これだ!」と思ったパーツを使い続けると、作業の手間が省けます。
デメリット②上手くやらないとホイールの重量が増す
ホイールバランスの基本的な作業としては、ホイール各部の軽くなっている部分に重りを貼り付けてバランスを取るといった形になります。
そのため、効率的に作業を行わないと、ホイールが重りだらけになってホイール自体の重量が増してしまいます。
リム周辺部が重たくなると踏み出しや加速に影響を与えるため、いかにバランスが取れていてもプラマイゼロになるでしょう。
ホイールバランスを取る時は、必要最小限の重りを使う意識が重要です。
デメリット③低速域だと違いが実感しにくい
ホイールバランスを取ると速度が落ちにくいというメリットがありましたが、これが実感できるのは高速域で走っているときだけです。
20km/h程度の低速域ではあまり違いが実感できないため、作業の手間ほどの効果は得られないでしょう。
そのため、どちらかといえばレースに出場するような上級者向けのメンテナンスといえます。
4.ホイールバランスの取り方
では、具体的にホイールバランスを取っていく方法を解説します。
ロードバイク用のホイールバランサーを購入してもいいですし、それがなくてもバランスを取ること自体は可能です。
用意するものと作業手順を詳しく見ていきましょう。
①用意するもの
ホイールバランスを取るのに用意するものは以下の通りです。
- 振れ取り台(ホイールバランサー)(なくても可)
- 鉛シール(ゴルフ用のものがおすすめ)
- プラスチックハンマー
- 1円玉
振れ取り台(ホイールバランサー)がない場合は、ホイールをセットできるメンテナンススタンドでも構いませんし、ロードバイクを逆さまにした状態で行うこともできます。
②作業手順
ホイールバランスを取る主な作業手順としては下記の通りです。
- ホイールをセットとして手を離す
- 真下にきた部分(最も重い箇所)の反対側に仮ウエイトを貼る
- どの位置で手を離してもホイールが静止するまで仮ウエイトを付ける
- 貼った仮ウエイトの重量を測り、同じだけの鉛シールをホイールに貼り付ける
まず最初にホイールバランサーなどにホイールをセットしてください。抵抗などがない場合は、最も重たくなっている箇所が一番下に来るはずです。
全体的な方向性としては、真下に来た箇所(最も重い)の反対側にウエイトを貼り、重量を均一にしていきます。
仮ウエイトとして1円玉(1枚1g)を貼りながら、ホイールのどの場所で手を離しても静止するまで続けます。
仮ウエイトの重さを測り、同じ重量の鉛シールを同じ箇所に貼っていきます。
ウエイトを貼る際は、事前に脱脂を行い、貼った後は定着を良くするためプラスチックハンマーなどで軽く叩いてください。
5.まとめ
ホイールバランスの取り方について解説しました。
ポタリングやロングライドを楽しむ方にとっては、効果は薄いかもしれませんが、レースに出場するような方やガンガン走る方には、作業を行う価値があります。
ホイールバランスを取ること自体は、簡単なものだと数百円程度でできますし、1g単位までバランスを取ることができます。
ショップに依頼すれば、さらに高精度のホイールバランスを取ることもできるので、レース前にロードバイクのパフォーマンスを上げたい方におすすめです。
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