「ベース・ビルディング・フォー・サイクリスト」という本の紹介
ロードバイクのトレーニングを始めたばかりの初心者にはもちろんオススメだけど、SSTやL4、vo2max・HIITなど中・高強度のトレーニングをメインに頑張ってるけどどうも伸びない、頭打ちを感じている、FTP4〜4.5倍の壁を感じている。みたいなトレーニングに熱心な中級者に特に役立つだろうという本。
トレーニング熱心になればなるほど理解されにくいベーストレーニングについての必要性とやり方を理論やエビデンスを交えて詳しく書いているので理解しやすい。
本書は、体の効率を高めて、同じ運動を少ないエネルギーや燃料で行えるようにするためのトレーニング方法を紹介します。これに取り組むことにより、ヒルクライムやゴール前のスプリントなどの、長くハードな運動のためにエネルギーを温存できるようになるでしょう。また、効果的なベーストレーニングによって、心拍数や主観的運動強度(RPE)を低く保ったまま、より速く、大きなパワーで走れるようにもなるでしょう。
という紹介文にある通りベーストレーニングをすることで強度の高い運動が楽にできるというホンマかいな!?という感じ。
実際ベーストレーニングを何ヶ月・何年もきっちりやったら分かるがベーストレーニングをしていない場合としている場合でL4・L5あたりの高い強度で踏んだ時に感じるキツさが全く違う。
心拍数はそれなりに高くなってキツイ感じはするんだけどキツイ感じでも別にいけるっちゃいけるなぁみたいな感覚になる。
これはベーストレーニングをきっちりやった人にしか絶対分からない感覚だと思う。
実はず〜〜っと(ちゃんと理解してないままだけど)ベーストレーニングはしていたほうだったのでベーストレーニングの重要性や恩恵にあまり気付いてなかった。
去年の年末に短時間高強度のみで練習量を減らしてみたら一気にベースが落ちたせいか高い強度で踏んだ時の主観的強度が上がってしまって全然粘れなくなってしまいベーストレーニングの重要性に気付かされて、ベーストレーニングについての理解を深めたいと思いこの本を読んでみた。
ポイントは脂質代謝の向上
人間は2つのエネルギー源を使うようになっていて運動強度が低いと脂肪をエネルギーとして優先的に使い、運動強度が高くなるにつれ糖質をエネルギーとして使う割合が増えていくらしい。
糖質は身体にあまり蓄えることができないが脂質は細身の人でも大量に存在する。
糖質を1とすると脂質は30〜60らしいのだが全然容量が違う。
糖質は大きなパワーを出すための重要なエネルギー源なのでなるべく使わずに温存できたほうがいい。
低強度(AeT強度)で長時間、高頻度、長期間でトレーニングを重ねると高い強度でも糖質を使う割合が減ってきてより脂質を使って運動ができるようになるらしい。
これによって高い強度で走っていてもエネルギーを温存したり主観的強度や心拍数を低く抑える事ができるとの事。
糖質より脂質を使えるようになるだけで、心拍数や主観的強度が下がるというのは正直ピンとこないがその辺りは抹消(毛細血管)の発達も関係していると思う。
糖質をなるべく温存できるようになればTTやヒルクライムで後半に垂れにくくなったりロードレースなどでもここぞというアタックに糖質を使えるようになるのでベーストレーニングはまさにベースを底上げできるトレーニング。
現にプロはもちろんホビーレーサーでも強い人はほとんどの人が大量のベーストレーニングをやっていて高強度の頻度は意外と少ない。
短時間高強度のみで強い人もいるので一概には言えないがそういう人は才能なんだろうと自分は思うようにしている。
Stravaなどで強い人のログを見てみると高強度のトレーニングに目がいきやすいので見落としがちだが、ベーストレーニングもちゃんとやっていて月間の走行距離も多い(ログを隠してる人もいるけど)
このベーストレーニング、中強度や高強度では代替えできないのか?と思うかもしれないがおそらく代替えはできない。
低強度は低強度でしか得られない効果があり、中高強度は中高強度でしか得られない効果がある。
詳しくはこのAeT値とAT値について解説している記事を見てください。
「早く走れるようになるには、ゆっくり走ること」
という言葉が著書中にあって印象的。
うーん、なかなか奥が深いですね。
ぜひ読んでみてください。